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忘れられぬ人-part1-

 

誰にでも記憶に残る仕事ってのはあるもんで

 

番長も同じ

 

何度も行ってきた調査で記憶に残るものがある

 

今日から1人ずつを紹介しましょう

 

1人目:極悪非道面の対象者

       事前情報

対象者年齢:28歳

職業:無職

対象車両:ボコボコのアメ車

交友関係:まともな人間は皆無

容姿:とにかく目つきが悪い&肩をいからせて歩く

異性関係:水商売で働く女性と交際しているらしい

備考:薬物使用の可能性あり&運転が荒い

 

ずいぶん昔の話になる

 

小僧が働くずっと前や

 

依頼者さんから旦那さんの素行調査を頼まれた

 

予備調査(下見)に入り対象者の面取りを調査員と共に行う

 

暫くすると対象車両が来た

 

調査員が

 

「代表!来ましたマルタイ(対象者)です。」

 

「ん?どれどれ。どんな奴や」

 

「怖い顔してます・・・」

 

「ほんまやの〜。悪い面構えしよんの・・・」

 

普段から怖い職業の方々とも付き合いのある俺

 

ちょっとやそっとじゃあ驚かない

 

しかし

 

そいつの顔

 

怖すぎ

 

ていうか

 

顔面凶器

 

依頼者さんにも多少は聞いていたが

 

目つきが怖すぎっていうか死人又は殺人者の目つき

 

さらに事前情報通りの歩き方

 

肩をいからせ、がに股で威張り散らしながら歩く

 

「今時、ヤ○ザでもこんな奴おらへんぞよ」

 

「ですよね・・・」

 

「こりゃ大変な調査になりそうやの〜」

 

「はい・・・僕もそう思います・・・」

 

そして調査当日

 

張り込み体制に入って1時間もすると対象者が出てきた

 

いつ壊れてもおかしくないアメ車に乗り込み出る

 

ボボボボボー

 

運転手も下品なら車両も下品

 

微塵ほども品の無いエンジン音を轟かせ急発進

 

まった、先が思いやられる

 

尾行開始

 

すると、このバカ

 

車線変更を繰り返し、信号は無視、クラクションを鳴らしまくる

 

運転マナーのマの字も知らないような野蛮な運転

 

こっちは尾いていくので必死

 

間もなく、ボロボロのアパートに到着

 

「おっ、もうビンゴか?女の家かもわからんの〜」

 

「見てきます」

 

と、話した矢先

 

アパートの1室から出てきたのは

 

対象者に負けず劣らず凶悪面の

 

 

「おい、ボケが一匹増えよった」

 

「の、ようですね・・・」

 

類は友をよぶという言葉が相応しい2人

 

まるで漫画に出てくる極悪兄弟

 

対象車両で出発した極悪コンビを追う

 

着いた先はパチンコ店

 

「何やねん!せっかく尾いてきたのにパチンコ店かい」

 

「やっとれんの〜」

 

「見てきます。」

 

俺は調査車両で待つことに

 

暫くすると

 

「対象者が若い男を店外に連れ出し、何か話をしてます。」

 

車両を確認できる場所に移動、撮影する

 

極悪コンビが若い男と話しをし

       威嚇しているように見える

 

何枚かの1万円札を受け取る

 

そして極悪コンビは移動

 

とあるアパートで、又も男性を呼び出し、金を受け取る

 

次は違う場所で女性(中年)と遭い、金を受け取る

 

「ははーん。こいつ等、ヤミ金か090金融の使いパシリやの〜」

 

「そうなんですか?」

 

「よう見てみろ。シャブのバイ(売ること)なら何か渡すはずや」

 

「なるほど。早く終わりたいです。」

 

極悪コンビの尾行を続けること十数時間

 

やっと片割れの悪党面のアパートに到着

 

対象者は1人でボロ車にて出発

 

着いた先は、1件のスナック

 

「ここは俺が行く」

 

「お願いします。」

 

時間も早く、客はいなさそうだが入ってみる

 

「いらっしゃいませー。」

 

店には女の子が2人

 

対象者はカウンター席に座って俺のことをジロジロ見る

 

とりあえず、カウンターに座り飲み物を注文

 

カウンター内の女の子と話しをしながら対象者の様子を窺う

 

どうやら、もう1人の女の子が対象者の不倫相手のよう

       女性情報

年齢:22〜23歳

容姿:下品というよりド派手。スタイルは悪くないが下っ腹が出ていそう

備考:とても頭が悪そう

 

トイレで隠しカメラを仕込み、撮影

 

「終わったら迎えに来るわ」と言い残し、対象者は出て行く

 

何も飲まず、20分程度で出て行ったことで相手はこの女性の可能性大

 

「出てったぞ、俺は店に残って聞き込みするから」

 

「わかりました。尾行します」

 

店内の客は俺1人

 

聞き込みの条件は楽勝

 

女の子2人に飲ませ

 

対象女性の情報をさりげなく聞き出す

 

手に入れた情報は

 

1. アパート(これで調査はほぼ完了)

2. 氏名(本名で働いている)

3. 腕に注射痕あり(シャブ中らしい)

 

最後に「さっき、来てたのお前の彼氏か?」と聞くと

 

「えっ・・・違いますよー」というも、額に「そうです」と書いてある(笑)

 

弊店は12時、1時には片付けを終え出るらしい

 

調査員にその旨を伝えると対象者は自宅にいるとのこと

 

1時よりの調査に備える

 

後は簡単

 

店がハネた後、女の子を尾行

 

2人の接触を押さえ、アパート前で張り込む調査員に連絡

 

アパート直前まで尾行、撮影は調査員に任せる

 

アパートの電気が消え、対象者が出てこないことを確認

 

調査終了

 

ずいぶん長編になってしまいましたが

 

この対象者の顔、否、目つきがとんでもなく凶悪

 

簡単に書きましたが、尾行の難易度は超ハード

 

とんでもなく辛かったです

 

この話しには後日談がありまして

 

一部始終を報告後、依頼者さんに

 

「話し合いをされるつもりなら同席しましょうか?」

 

「暴力沙汰にでもなったら大変やし、私なら慣れてるから大丈夫ですよ」

 

というと

 

「なんとか私一人で、話してみます。ダメなときはお願いします」

 

とのこと

 

数週間後に電話があり

 

依頼者さんは

 

「旦那、覚醒剤所持で逮捕されました」

 

「えっ?どうして?」

 

「女性を迎えに行った帰り、検問の車内検査で・・・」

 

「なるほど・・・で、どうなされます?」

 

「昨日、拘置所で離婚届を書いて貰いました」

 

「そうですか・・・」

 

終わりました。

 

忘れられぬ人:1人目

極悪非道面度★★★★★

尾行難易度★★★★★

満足度★★☆☆☆

判決:懲役1年、執行猶予2年

 


 


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